公式な資料や統計は見つけられなかったのですが、定年退職したら海外で暮らしてみたいという夢を持っている方は確実に増えていると思います。
それは日本でも田舎で暮らしたいという要望とあまり変わりなくて、それだけ海外が身近になった証拠だと思います。
海外で活躍する人たちを紹介するテレビ番組も多くありますし、その中には中高年、それ以上という方々も元気に暮らしています。
現代の日本で、平均的な年金収入だけでは満足できる暮らしが難しいと言われ始めています。定年後ご夫婦が平均寿命を全うするには2000万円ほどかかるという試算が出ました。
為替換算すると物価の安い海外のどこかならば、無理なく暮らしていけるかも知れません。
それはどのような暮らしなのか、問題点はなんだろう。
定年退職後(または早期退職して)のミドルエイにとっての海外移住について、10回シリーズで検証してみました。
まずは実情や概要について整理してみました。
実情
外務省が出している海外在留邦人数調査統計(平成29年要約版)によると、
- 平成元年度 約59万人
- 平成10年度 約79万人
- 平成20年度 約111万人
- 平成28年度 約134万人
在留邦人は約30年間で2倍以上に増えています。
そして、その内訳にも注目して欲しいのですが、長期滞在者と永住者の割合が平成元年度ではほぼ半々でしたが、徐々に長期滞在者の割合が増えていて(永住者も増加していますが)
平成28年度の割合では長期滞在:永住者が2:1という状態になっています。
長期滞在者とは
3か月以上の海外在留者で、一時的に海外生活を送り、いずれ帰国する予定の邦人
永住者とは
(原則として)当該在留国等より永住権を認められている、生活の本拠海外へ移した邦人
つまり、交換留学の学生や、語学留学の方(ワーキングホリデー含む)、日本企業の駐在の方などが増えていることがうかがえます。
そして資料には示されていませんが、長期移住者になかには、ミドルエイジの方々も含まれていて、その数も増えているのではないかと想像できると思います。
一方永住者の数も平成元年度と比べて平成28年度では2倍にあたる47万人です。この中にも海外での暮らしを選択したミドルエイジが含まれていると思っていいでしょう。
一時的な移住か永住か
長期滞在(一時的な移住)と永住の違いは、滞在資格取得にあります。国によって違いますが、一定の基準を得ないことには長期滞在は出来ません、もちろん永住となればさらに機銃や条件が異なります。
このシリーズでは現実的な長期滞在(一時的な移住)について考えていきます。
海外旅行で体験済みだと思いますが、観光で滞在できる資格(観光ビザ)は国によって異なり数週間から長くて3ヶ月程度。
それ以上の滞在を機能するのであれば、目的別(仕事や勉学、その他)の滞在資格(ビザ)を取得する必要があります。
東南アジアを中心に一定条件を満たす中高年者向けの長期滞在ビザを発行するようになり、それに応じるようにミドルエイジの海外移住熱が高まっているのです。
先の資料によると、平成28年度の長期滞在者は約87万人です。全人口が減少傾向にあり、少子高齢化が進む中で、相当割合のミドルエイジが海を渡っているようなのです。
押さえておきたいポイント
一時的な期間とは言え、海外移住となると様々な問題や条件、準備が必要です。詳しい情報は順次紹介していますが、何点かポイントを挙げおきましょう。
言葉
日本文化が海外でも浸透してきているため、簡単な日本語でコミュニケーションできることに驚きます。
しかし、それもごく一部に限られます。英語が話せれば問題ありませんが、その国の簡単な言葉は勉強しておきましょう。
そして、とにかく話すこと。言葉にマチガイはありません。こちらが懸命に伝えようとすれば必ず分かってくれます。伝わります。今ではGoogleという強い見方もいます。
気候
その国の気候を知っておくことも大切です。合わせた衣類を準備しておきましょう。
病気・風土病・医療関連
東南アジアなどではマラリアやデング熱などに罹患する可能性があります。また刺激性の強い食事でおなかが・・・・。日本が通じる医療施設を確認しておきましょう。保険の適用についても。
物価
物価の安い国に滞在することが前提ですが、日本人を含む外国人向け商業施設やレストランは本国より高くつきます。為替には敏感になるべきです。また現金ではなくカード利用、キャッシュレス生活を基本にしましょう。
治安
やはり気になります。危険だと言われる場所には近づかないことが基本です。必要以上に警戒していると却ってターゲット視されます。
まとめ
日本の田舎暮らしでも書きましたが、海外で暮らす時も日本と同じ生活を望まないこと、現地の生活感を楽しむことが大切です。
食べるものもローカルフードを楽しむようにしましょう。衣類も下着などのベーシックなものは持って行っても、他は現地調達で。
現地の友人を多く作り(現地に住む外国人もいいですね)、旅行者とは違う時間の過ごし方を満喫することです。