定年退職後(または早期退職して)のミドルエイにとっての海外移住について、10回シリーズで検証しています。
これまで定退職後移住する、長期滞在向けビザ(リタイアメントビザなど)が取得しやすい、
生活費が安い、などの条件を考えるとインドネシアやマレーシアといったアジア圏が現実的でした。
それでは他の国の事情はどうか、費用についてではオーストラリアとニュージーランドについて紹介しましたが、ヨーロッパについての情報が不足していました。
調べてみると人気移住先として上位にラインクインする国もあります。
その国に長期間住むことは可能なのでしょうか。
可能しても、どのような条件や費用がかかるのでしょうか。また生活費はどうなのか。
様々な理由でユーロは揺れています。
情報も錯綜していますが、整理してみました。
各種ランキングの実態
滞在者数を基にしたランキング
- アメリカ 長期滞在者数:約42万人 永住者:約19万人
- 中国 長期滞在者数:約13万人 永住者:約3千人
- オーストラリア 長期滞在者数:約9万人 永住者:約5万人
以下、タイ・カナダと続き、6位イギリス、8位フランス、9位ドイツとなっています。
10位までにヨーロッパから3国ランクインしていて、長期滞在されている人数が多いことが分かります。
滞在費用の安いランキング
ココではフィリピンが第1位で、その後第5位までがインドネシアほか東南アジア諸国に独占されています。
定年退職後の移住ランキング
- フィリピン
- ブラジル
- インドネシア
以下タイ、マレーシアと続きます。
いずれの国もリタイアメントビザが取得しやすいこと、日本からの移動時間が短い事などがランクを押し上げているようです。
意外なのはブラジルですが、年金受給者向けの特別ビザが発行可能で、更新期限もなく半永久的で家族の同居も出来るのだとか。
日本人移民という歴史的背景から馴染みが深い方も多いのでしょうか。しかし政情が不安低で治安が不安です。さらに英語圏でないので言葉の心配があります。さらになんと言っても遠い。
以上見合わせると、居住・滞在者数ではヨーロッパも上位なのに、他のランキングではランクインすらしていなないことが分かります。
つまり、ヨーロッパ居住・滞在者の実態は仕事や学生といった方々が多いのではないかと推測できます。
では、ヨーロッパにおけるリタイアメントビザ取得や長期滞在の実態はどうなっているのでしょうか。
ヨーロッパ各国の事情
相当する情報はあまり開示されていないようです。詳細を知るには各大使館などに相談する必要があるようです。
具体的な資産額を提示する国もありますが、その国に移住する目的やつながりなど曖昧な記述も多く、移民局や関係機関との友好な関係が求められます。
イギリスの場合
- リタイアメントビザ制度あり
- 60歳以上で年間25,000ポンド以上の収入が証明されること。
- 1年毎の更新で永住権獲得の可能性もあり。
- これまでイギリスに滞在経験があるか、家族が住んでいるかなど。
スイスの場合
- リタイアメントビザ制度あり
- 55歳以上で金額は明記されていませんが一定収入があることを証明。
- 1年毎の更新で永住権獲得の可能性もあり。
- スイスを生活の中心におくこと、スイスでの滞在経験の有無。
ヨーロッパは移民・難民問題があり人道的には受け入れる姿勢を見せながら、ハードルが高いという印象です。
フランス・ドイツではリタイアメントビザに匹敵する制度は見つかりません。就労・学生ビズを得て長期滞在するという方法が一般的のようです。
ポルトガル・スペイン・ハンガリーではリタイアメントビザを発行していますが、25~50万ユーロ(約3,000~5,000万円)を国営の投資銀行へ預けることを求めています。いずれの国も首都以外では物価は安いようですが、高いハードルが障害となっています。
まとめ
総じてヨーロッパは定年後の長期滞在先としては現実的ではないかも知れません。費用の面では限定されます。
しかしユーロ圏にはシュンゲル協定という日本人であれば、その国にのべ90日間(6か月以内)は滞在できるという制度があります。
これを利用してはいかがでしょうか。
普段はアジアに拠点を置きながら(日本とのデュアルライフもあり)、そこで知り合ったヨーロッパ人の母国を訪ね、アパート等を借りて現地の暮らしを楽しむ、繰り返すというシナリオが良さそうです。